肥厚性幽門狭窄症

 肥厚性幽門狭窄症は胃の出口(幽門部)の筋肉が厚く肥厚したため、出口が狭くなり胃から十二指腸への食べ物(ミルク)の通過が障害される病気です。原因は不明ですが、本症になりやすい先天的な素因に何らかの要因が加わることにより、幽門部の筋肉の肥大、増殖が生後急速に起こると考えられています。
 ほとんどが生後2−3週目より、幽門部が狭窄してくるために飲んだミルクが十二指腸へは通らず、嘔吐することにより気付かれます。嘔吐は次第に増強し、哺乳の度に勢いよく噴水状に吐くようになってきます。患児は空腹のためミルクを勢いよく飲むが、勢いよく吐く状態を繰り返し、体重の増えが悪くなってきます。
 診察時、腹部に腫瘤を触れたり、胃の蠕動運動がお腹の上から見られる様になってきます。腹部超音波検査で幽門筋層の肥厚、幽門管長の延長が見られ、上部消化管造影検査で幽門管の狭小化および延長が認められます。
 治療としては内科的治療と外科的治療があります。内科的治療としては胃のけいれんを止めるためと、吐き気を抑えるために硫酸アトロピンを投与します。外科的治療(手術)が最も確実な治療法です。幽門部の肥厚した筋肉の筋層のみを切開し、内腔の拡大をはかります。