アレルギー性紫斑病

 全身の細い血管がアレルギーのため炎症を起こし、急にもろくなって出血し易くなる病気です。この病気はシェーンライン・へノッホ紫斑病、血管性紫斑病とも呼ばれています。発症する前にかぜ等の症状があることが多く、溶血性連鎖球菌などの細菌やウイルスが、感染する事がきっかけとなって血管に対するアレルギー反応を出現させると考えられています。
 主な症状は紫斑(赤色の小さな斑点および赤紫色の出血斑)と関節痛、腹痛です。点状出血斑(赤色の小さな斑点)が重力のかかる下肢を中心に現れ、臀部、前腕、手背に広がります。紫斑は数週間出たり消えたりを繰り返しますが、極希には数ヶ月から数年にわたって再発する人もあります。関節痛は一過性ですが、一つの関節だけのこともあれば、同時にいくつもの関節を痛がることもあります。多くは痛みだけでなく、関節の脹れを伴います。腹痛は激しく、しばしば嘔吐や下血を伴います。これらの主な症状が全て揃うとは限らず、またどの症状が先に出るかはその人によって異なります。紫斑に先行して激しい腹痛が出てきた場合、診断が難しいことがあります。治療の如何に関わらず、合併症として紫斑出現2−4週後に血尿や蛋白尿がみられることがあります(紫斑病性腎炎)。紫斑病性腎炎の大部分は自然に治りますが、稀に腎不全に至る場合もありますので、定期的な尿検査が大切です。
 現在特効薬はありません。重症化する場合もありますが、たいていの場合数週間で治り後遺症もほとんど残りません。軽症の場合は自宅安静で軽快しますが、腹痛が強く、血便が見られる時には入院が必要となります。腹痛や関節痛に対しては痛み止めや湿布など症状を和らげる治療(対症療法)が行われます。腹痛が強く血便を伴う場合にはステロイド剤が処方されます。急性期は激しい運動は止めましょう。腹痛や血便がなければ食事制限は必要ありません。全身状態が良ければ入浴は良いでしょう。