ぞうさんひろば

ぞうさん通信4月号
2019/03/15(金)

 桃の花が満開となり、春が近づいてきました。卒業の季節です。
朝夕の寒暖差が大きいので注意して下さい。
 滋賀全県では、感染性胃腸炎、インフルエンザA、A群溶血性連鎖球菌感染症が多く見られています。県内全域にノロウイルス食中毒注意報が発令されています。インフルエンザは警報は解除されましたが、引き続き注意が必要です。
 学校欠席者情報収集システムによると溶連菌感染症および水痘、感染性胃腸炎、アデノウイルス感染症、流行性耳下腺炎(おたふく)の順に多く報告されています。
 当院においてもインフルエンザは随分減ってきましたが、まだ一部の地域でインフルエンザAが散見されます。インフルエンザに代わり、溶連菌感染症が増えてきました。例年の如く感染性胃腸炎も見られます。地域的には水痘も見られています。注意すべきはヒトメタニューモウイルス感染症(細気管支炎など)が見られることです。
 花粉の飛散が報道される時期になっています。アレルギー性鼻炎や結膜炎で悩まされる患者さんは外出時にはマスクを着用し、帰宅したら外で花粉をよく払い落としてから家に入りましょう。


1)ヒトメタニューモウイルス感染症
 ヒトメタニューモウイルスはとく最近2001年に急性呼吸器感染症の原因ウイルスの一つとして発見されました。聞き慣れないウイルスの名前ですが、実は昔からヒトの間で流行してきたかぜのウイルスの一種類です。生後6ヶ月頃から感染し、2歳ごろまでに約半数が又10歳までにほとんどのヒトが感染し、その後も感染を繰り返すと言われています。乳幼児で流行することが多く、大人にも感染します。ヒトメタニューモ感染症は1年を通じて見られますが、特に3~6月にかけて多くなると言われています。
 4~6日間の潜伏期の後、発熱、咳、鼻水といった一般的な風邪症状で始まります。RSウイルス感染症と同様、大抵の場合は咳が強く、長く続く風邪で経過しますが、乳幼児や高齢者では重篤化し気管支炎や肺炎を起こすことがあるので注意が必要です。ヒトメタニューモウイルス感染症はRSウイルス感染症とよく似た症状を呈し、乳幼児のゼロゼロやヒューヒューという細気管支炎でRSウイルスが証明されなかった患児の多くがこのウイルスによると言われています。
 ヒトメタニューモウイルス感染症に効く抗ウイルス薬はありませんので、発熱や咳・鼻水を抑える対症療法になります。気管支炎や細気管支炎、肺炎を起こすことがありますので、咳が強く高熱が4-5日を越える場合には注意が必要ですので受診して下さい。
 くしゃみや咳による飛沫感染やウイルスのついたものに触れる接触感染で拡がりますので、帰宅時には手洗いうがいを行って下さい。

2)溶連菌感染症
 A 群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌により引き起こされる病気の総称です。細菌の侵入部位により様々な症状を呈します。日常よくみられる病気は喉に起こる急性咽頭炎で、その他皮膚に出来る膿痂疹、傷口から菌が侵入して起こる蜂巣織炎があります。合併症として菌が直接侵入して病気を起こすこではなく、間接的に急性糸球体腎炎やリウマチ熱を起こす事があります。
 患児の咳やくしゃみにより溶連菌が飛び散り、それを吸い込んで感染します。
潜伏期は2-5日です。突然の発熱と全身のだるさ、喉の痛みで発熱し、しばしば嘔吐や腹痛、頭痛を伴います。喉は真っ赤となり、扁桃腺に白い膿み様のものが付き、喉の奥に小さな出血斑が出てきます。数日経ちますと舌が赤くなり、ブツブツが出てきて苺状になってきます(苺舌)。
 発熱後12-24時間経過すると赤く細かい発疹が手足や体に現れることがあります。特に腋の下や足の付け根に多くみられます。顔面では額と頬が紅潮しますが、口の周りのみが蒼白となる(口囲蒼白)のが特徴です。数日経つと苺舌も見られます。発疹が出た場合1週間程経つと皮膚がポロポロ剥がれ落ちる落屑が始まります。
 治療には第一選択薬としてペニシリンを用います。薬を服用すると1-2日で熱が下がり、喉の痛みなどの症状は軽快しますが、溶連菌は残っています。再発や合併症を起こさないためには10日間薬を飲み続けることが重要です。薬を飲み続けていれば解熱後1日経てば他人に移す心配はなくなると考えられています。
 予防としては患児との濃厚接触を避けることが最も重要です。うがいや手洗いなどの一般的な予防法も大切です。